水廻りのリフォームを成功させるために
「水廻りのリフォーム」とは「キッチン」、「浴室」、「トイレ」、「洗面所」など日常で「水」を扱う場所に関する全てのリフォーム工事の総称になります。住まいの寿命を延ばしていくという点からは、住まいの「構造部分」が50年以上の寿命を持つとされているのに対し、「水廻り」の部分は20年程度ですから住まいの中で最もリフォーム需要が高い場所であるともいえ、システムキッチンやユニットバスなど各メーカーからさまざまな商品がコマーシャルされています。
良い住まいのリフォームとは
「水廻りのリフォーム」には各メーカーからさまざまな商品が出ており、ショールームに行くと各社が工夫を凝らした製品が数多く並び、実際の製品を手にとって確認することができます。最新のキッチンやユニットバスは使い勝手やも良く品質も高いものばかりですが、良い住まいのリフォームとは自宅をショールームにすることではありません。ショールームで商品を決めて自宅に設置することも立派なリフォーム工事ではありますが、「良い住まいのリフォーム」とはその後に住まう方が「使い易く」、「気持ちよく」、「安心」そして愛着を持って、暮らしていただける家にすることだと思います。
ショールームで製品を確認することもリフォーム工事を決める前の大事な作業ではありますが、実際に大事な要点は以下の点などがあげられます。
使い易くする観点
せっかくのリフォーム工事の際には、今まで不便に感じていた点を解消しましょう。毎日の生活の中で不便とは感じなくなってしまっているものの中にも、以外に不便な点は多いものです。
キッチン
- 冷蔵庫の位置は不便ではありませんか。冷蔵庫の扉の開き方向は使い易いですか。
- キッチンの対面方向は希望通りですか。家族の顔を見ながら料理をしたいなどの要望は特に重点的な事項です。
- 電子レンジやオーブン、炊飯器やコーヒーメーカーなどのスペースは確保できていますか。コンセントなどの電気設備も必要なため、最初に計画を行なわないとせっかくのリフォーム工事も台無しです。
- 食器棚の位置は適切ですか。調理をする上でお皿が気持ちよく用意できるかどうかは非常に重要です。
- お料理をしながら、お洗濯などは行ない易い動線になっていますか。せっかく行なうリフォームですので一度見直してみることも大事です。
これらは今までリフォームをさせていただいた経験から比較的初歩の段階で打合せが必要になったことがらです。一見簡単なことばかりですが、これらが最初にきちんと計画してあると使い易いキッチンにすることができます。
キッチン自体の使い易さや収納力は数年前とは比較にならないほど高くなってきていますので、キッチンのリフォームを成功させるためにはその他の要素を一つ一つ検討していくことがリフォームを成功させる鍵になります。
リフォーム前には、お買い物をしてから帰宅して冷蔵庫にしまうまで、そして実際に料理をしてご家族でお食事をするまでをイメージしてみましょう。簡単な間取り図を書いてみることは非常に効果的です。
浴室
- 浴室の広さは充分に確保されていますか。隣接する洗面所のスペースなどを活用することで、浴室の広さを改善できることがあります。
- 入り口の幅は広く確保されていますか。リフォーム計画を立てる際には将来の身体のことなども考慮し、最も有効幅を広く確保できる計画にしましょう。
- ユニットバスの中には標準では洗面器置き場や洗面道具などを置くスペースのないものも多くあります。腰痛がある方などは洗面器置き場などがないと日常の入浴動作が困難になってしまうこともありますので、現在の身体の状態はもちろんのこと将来の身体の状況なども考慮して、製品を選んでいくことが非常に大事です。
- 現在のユニットバスは選択の幅も広く、変形した間取りに対応している製品も多くありますが、工業製品のため浴室面積が小さくなってしまうなどのデメリットもあります。タイル張りの在来浴室の設置に切り替えることで変形した空間も上手に活用できる場合があります。
- 洗面脱衣室は使い易く配置されていますか。タオルや予備のシャンプーなどの収納など狭い空間でありながら以外に収納力が求められる場所でもあります。
ユニットバスはキッチンとならんで多くの製品が販売されているリフォームの花形商品となっていますが、ここでも実際に大事なことは、「浴室の入り口での段差の有無」や「身体を洗うときの洗面器の位置」など、現在だけでなく将来の身体の状況などを考慮した「寸法」にリフォーム工事を計画をしていくことが大事です。
隣接する洗面脱衣室も、お洗濯などの家事動線と密接に関係してきます。洗濯機の位置などを実際の入浴時をイメージして使い易く配置していくことが大事です。また洗面脱衣室にはタオルやシャンプーなどの日常品も収納しておきたいところです。浴室のリフォームの際にはこうした収納計画も一緒に考慮していきましょう。
トイレ
- トイレの入り口の幅はどのくらい確保できていますか。現在の幅が76cm程度の場合30cm程度広げることで年齢を重ねられても安心して使用できるトイレになります。
- トイレの幅を広げられない場合、引き戸にするなど建具を改善することで入り口の幅を確保できる場合があります。また、引き戸にできない場合でも入り口の幅を広げる機能を持った機能性ドアなども発売されています。
節水機能や洗浄便座、またトイレを自動的に洗ってくれるトイレや消臭、除菌機能などさまざまな快適性能の高いトイレが発売されていますが、やはりここでも重要なのが「トイレへの入り易さ」などの動線計画だと思います。
便器などは10年~20年程度で交換も検討されますので、せっかくのリフォーム工事の際には入り口の動線計画を重視していきたいところです。
以上に「キッチン」「浴室」「トイレ」のリフォーム工事を、「住まいを使い易くする観点」から見てきましたが、次に「住まいの性能をあげる観点」から見て行きたいと思います。
住まいの性能をあげる観点
リフォーム工事に求められる条件には、「今まで不便だったところを改善する」のと同時に「住まいの性能をあげる」ことが求めらています。「住まいの性能をあげる」こととは、一般的に次のようなことがらを指します。
- 住宅の気密性能を高くして「寒くない」または「冷暖房効率の高い」住宅にすること(エネルギー効率を高めること)
例:浴室などの保温性能を高めて寒くない浴室にすることなど
- 給湯器などを高効率形の給湯器に交換し、電力やガス、石油の使用を減らすこと(化石エネルギーの節約)
例:エコキュートやエコジョーズなどの高効率給湯器に交換するなどしてCo2の排出をおさえ、光熱費も節約していくことなど
- 給水管や給湯管を新しくするだけでなく、今後も配管の交換が行ない易いように配管経路を見直すこと
例:キッチンの交換時に古くなったキッチンまでの給水管や給湯管を交換するときに、今後も配管まで交換しやすいように給水管や給湯管を配管し直すこと。(特に壁の中に配管の立ち上げを行なわないこと)
- 耐震性能を高めること
例:浴室やキッチンなどのリフォームに併せてシロアリなどの対策をおこなったり、筋交いなどの耐震補強をおこなうことなど
以上はほんの一例となりますが、「水廻りのリフォーム」といっても、Co2の削減や耐震性能の向上につながるリフォーム工事になるということはリフォームを行なううえで重要な視点となります。
ぜひ「水廻りのリフォーム工事」をおこなう際には「システムキッチン」や「ユニットバス」、「トイレ」の性能に主眼を置くのではなく、リフォーム工事によってどのように「不便が解消される」「使い易くなる」のか、また「住まいの性能があがるのか」という点に主眼をおいてリフォーム計画を立てていただくことが結果としてよいリフォーム工事につながっていくもの思います。
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